「完全呼吸」について真剣に考えてみた

基本であり奥深い呼吸

ヨガのレッスンをしていると、呼吸法に関して多くのお客様から「深く吸えない」「うまくできない」などの声が上がります。

それもそのはず、ヨガにおいて呼吸法は基本でありながら、とても奥が深くて簡単には習得できないものです。

ヨガインストラクターたる私自身も「呼吸法をマスターしてます」なんておこがましいことは言えません。

これから数十年かけて研ぎ澄ませていかなければならないものだと思っています。ひょっとしたら一生かけていくものかも、とさえ思っています。

そんな呼吸に関して、先日、長くヨガの経験を積まれたお客様から質問を受けました。「完全呼吸において息を吐く順序が私の知っているやり方と逆なのだけど、どうして?」とおっしゃるのです。

どうして、と問われて私は困ってしまいました。完全呼吸にもいくつかのパターンがあることは知っていたけれど、自分の習得したやり方で心地いいと感じていたし、他のやり方との違いについてきちんと考えたことはなかったからです。

お客様から「気づき」のきっかけを与えていただいてありがたく思う反面、うかつだったな、と痛感しました。今まで疑問にすら思わなかったなんて。

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「完全呼吸」とは?

「やり方の違い」について考える前に、「そもそも完全呼吸とは何か」についておさらいしましょう。

完全呼吸法とは、腹式呼吸、胸式呼吸、肩呼吸、クンバク(息を止める)を組み合わせた呼吸法で、主にヨガのレッスンのウォーミングアップとして行われます。

やり方はおおづかみに言うと、次の通りです。まずは体の中にある息をすべて吐き切ります。それから、

  • 鼻から息を吸い込む
  • 2〜3秒息を止める
  • 鼻から息を吐く

これを数回繰り返します。一見、とても簡単そうに思えますけど、これがなかなか思うようにはできないんですよね。

この呼吸法によって、プラーナ(気)が全身に行きわたり、細胞が元気になるといわれています。

息の吐き方についての疑問

今回質問をいただいたのは、この完全呼吸の行程の「息を吐く」のやり方についてでした。

私のレッスンでは「お腹→胸→肩→気管支」の順に意識して息を吸い込んでいき、2〜3秒息を止め、「お腹→胸→肩」の流れを意識しながらすべての息を吐き切っていきます。

お客様の知っている息の吐き方は上から順に、つまり「肩→胸→お腹」の順で吐いていくというものでした。

調べてみると、息の吐き方に2種類の記載があることがすぐにわかります。しかし、吐き方の違いがある理由や、身体への効果がどう変わるのか述べている資料は見当たりませんでした。

調べがつかないとなれば、知性の力で挑むまでです。

といっても、私に驚愕の知性が備わっているわけでもありませんし、以下はあくまでも私個人の見解です。何卒そのつもりで読んでください。

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推論ですけど回答編

結論から言います。

アナウンスの仕方が違うだけで、結局のところ、いずれのやり方でもほぼ同じことをしているのではないでしょうか。

胸やお腹に手を当てて、深く呼吸をしたときの体の動きを感じてみてください。

息を吸ったとき、まずは胸が少し膨らみます。さらに深く吸い込むとお腹が膨らみます。もっと吸うと、胸がいっそう膨らみ、肩が持ち上がります。

息を吐くときはその逆で、まず、肩や胸にめいっぱい詰まっていた余剰分の空気が少し抜けます。それからお腹が引っ込んでいき、最後に胸に残った息が絞り出されます。

つまり深く呼吸したときの流れは、

  吸気:胸→腹部→さらに胸
  呼気:胸部の余剰分→腹部→胸

となります。

自然な深い呼吸とはおおよそ上記のようなものではないかと思います。誰の体にもだいたい同じようなことが起こっているはずです。

となれば、呼気時はどうしたってある程度は胸部の空気から抜いていくしかない。

でも最初に抜けていくのはあくまでも「余剰分」。それを吐き出した後には胸にもお腹にもまだ空気が残っています。

だから順当に胸部余剰分の空気まで無視せずにアナウンスすれば「気管から吐いて」になるし、余剰分をちょっと吐いた後の動きに着目すれば「腹部から吐いて」になる。

そして、インストラクターが最終的に意識を向けてほしいと考えている部分がアナウンスの終着点となります。

ようするに、同じことを別の言葉で表現しているのです。言うなれば、国語の問題。

もっとも、呼吸の自然な働きとは関係なく、腹筋を使って意図的にお腹を膨らませ続けたり、肩や胸を持ち上げることはもちろん可能です。そしてそれらは多少なりとも呼吸に影響を与えるでしょう。

流派やインストラクターごとに細かいやり方の違いはあるとは思いますが、完全呼吸の本質はそれらの共通項にこそあると思います。

つまり、しっかり吐くこと。しっかり吸うこと。ちょっと止めること。そしてプラーナを全身に行き渡らせること。

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さらにインストラクター的視点から

さらに踏み込んでお話しすると、私が「お腹→胸→肩」のイメージで息を吐かせるは、背筋の形をキープしてもらうためです。

胸部から吐くようにアナウンスをしていくと、お腹に意識が残るため、特に初心者の方は背筋が丸くなり、姿勢が崩れてしまいがちです。

先にも述べた通り、余剰分を吐き出した時点で胸や肩はしぼむのですが、できるだけ姿勢を崩してほしくないというという意図から「お腹から」とお伝えしています。

一方、「肩→胸→お腹」のイメージで息を吐くやり方は、丹田や第2チャクラにアプローチできるとは思いますが、丹田にしろ、第2チャクラにしろ、そこへ意識を向けるというのはなかなかの高難易度のような気がします。

そもそも、上記のような私の推論が正しいかどうかはわかりません。

私とは違う理由で「お腹→胸→肩」の順で息を吐かせている方もいらっしゃるでしょうし、私の推測とは違う理由で「肩→胸→お腹」の順で息を吐かせている方もいらっしゃるでしょう。

インストラクターごとに意図するところも違っているはずですので、そういう違いを楽しみながらいろいろなところでヨガのレッスンを受けてみるととても勉強になりますし、刺激にもなります。

そのなかで、自分にしっくりくるやり方やインストラクターを見つけていくのもヨガの醍醐味のひとつと言えるでしょうね。

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POYACO
岩手県宮古市の「ヨガサロンぽやにか」で広報を担当。当サイトの管理者でもある。ヨガサロンぽやにか公式サイトはこちら

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