「何を食べるか」よりも大切なこと-スカとドゥッカの論理-

「何を食べるか」に振り回されてはいけない

自分や家族の健康のために食事を見直したい、と考えている方はたくさんいらっしゃるだろうと思います。

でも、いったい何からはじめたらいいだろう、とお悩みではありませんか?

あるいは、多すぎる情報の中で戸惑っていはいませんか?

テレビでもインターネットでも、「あの食品がいい」「このサプリメントがいい」と口々にいろいろなことを言います。どれもこれも、さまざまなデータや考え方に基づいているので、どれも間違いとは言いがたく、同時にどれが正解であるとも言いにくい状況です。

だから結局のところ、「実際に食べてみて自分の体で試してみるべき」ということになるわけですが、あなたの体はいま、「試す」を受け入れられる状態にありますか?

もしもあなたの体が「試す」を受け入れられない状態にあるなら、おそらく何をやっても無駄です。

多少腹がふくれて多少の腹の肉がつくだけで、自分に合うか合わないかは理解できません。

Daria-Yakovleva / Pixabay

スカとドゥッカ

ヨガや仏教を学んだことのある方は、「スカ(Sukha)」「ドゥッカ(Dukkha)」という単語をどこかで聞いたことがあるかもしれません。

「スカ」はよく、「安楽」と訳されます。

ヨガのクラスは一般的に、「安楽座」あるいは「安座」と呼ばれる「あぐら」に似た座り方ではじまりますが、あの坐法のことをサンスクリット語では「スカ・アーサナ」といいます。日本語訳が示す通り、安定して座っていられる「楽」な座り方ですよね。

一方、「ドゥッカ」は一般的に「苦痛」や「苦悩」と訳されます。

「タンスの角に足の小指ぶつけた」みたいな表層的な痛みではなくて、人生につきまとう深い苦悩のことです。仏教が説いているのは、このドゥッカから解放される方法にほかなりません。

語源的には、スカの「Su」は「良い」「完全な」という意味で、ドゥッカの「Duh」は「悪い」「不完全な」という意味。「Kha」は「穴」や「空間」を意味します。

つまり、それぞれの意味をまとめると、

  • 「スカ」=「良い穴」「完全な穴」=安楽
  • 「ドゥッカ」=「悪い穴」「不完全な穴」=苦悩

ということになります。

「綺麗な穴」と「汚い穴」なら綺麗な穴の方が良さそうなのはなんとなくわかる。

でも、そもそも穴があいてるのはダメじゃないのか?

ついそんなふうに考えてしまいそうになりますし、事実、私も当初そんなふうに思いました。

でも「試す」のためにはどうしても穴があいている必要があるのです。

しかも、完全な穴が。

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我々は筒である

稲垣足穂という作家が「A感覚とV感覚」というエッセイの中で、人間というものを口から肛門にいたるひとつの「筒」とみなしていますが、私はこの考え方に賛同します。

手足はただのオマケみたいなもの。私たちは上下に穴のあいた筒なのです。

人間をそのように捉えると、「スカ=完全な穴=安楽」の理由が見えてくると思います。

私たちが真の健康であるとき、私たちは「完璧な筒」になっているのです。つまり「完全な穴」。

そして、「摂取」から「排出」までの流れが滞らない穴を持つ人間こそが「安楽」の状態にあるわけです。

凸凹でベタベタで汚い筒の中に何を入れても詰まるだけ。流れを滞らせることにしかなりません。

だから、いろいろな食品を試す前に、まずは自分という筒の掃除からはじめなくてはならないのです。

「ドッゥカの状態」から抜け出して「スカの状態」に自分を近づけていくのです。

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スカの時こそ試す!

自分の体をスカの状態に近づけるためにやるべきことは単純です。

「出る」より「入る」が多くなると、体という筒の中が混雑してドゥッカ化していきます。だから、その逆をやればいい。

つまり、食わなきゃいいのです。

といっても、まったく食べないわけにもいかないでしょうから、まずは食事の回数や量を減らしましょう。

ありがたいことに、人間にはそもそも排出のための機能が備わっているわけですから、食べる量が減れば出るべきものが勝手に出ていきます。

いらないものが出て体の中がスッキリした時こそ、「食べて試す」のチャンスです。

この時に注意すべきは、欲張ってあれもこれも試さないことです。

100種類の育毛剤を使って毛が生えてきたとしてもどの育毛剤がどのように作用したのやらわからなくなるのと同じように、あれやこれやを同時に試すと、合うも合わないもわからなくなってしまいます。

スカの状態で少量を食べることを心がければ、何を食べた時が好調で、何を食べた時が不調か、という違いが見えてきます。

その積み重ねが、誰かの受け売りでない、あなた独自の食事法を作り出していくのです。

ただし、一度自分の食事法をみつけたからといって終わるわけではありません。

年齢や気候など、さまざまな要因によって体は絶えず変化しています。

その変化に対応するためには、絶えず自分をスカの状態に近づけるよう意識し続け、自分の食事法を少しずつ見直する必要があります。

スカな状態の心地よさを実感できるようになると、続けることはそれほど苦痛でなくなると思います。

が、「そんなのめんどくせ〜」と思うなら、受け売りの健康法にすがって生きていくべきです。何にも生み出せはしないでしょうが、優秀な消費者として天寿を全うすることができるでしょう。

nuzree / Pixabay
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POYACO
岩手県宮古市の「ヨガサロンぽやにか」で広報を担当。当サイトの管理者でもある。ヨガサロンぽやにか公式サイトはこちら