「私、からだが硬いので…」
ヨガに興味はあるけど最初の一歩を踏み出せないでいるという方と話をしていると、躊躇している理由として多くの方が「からだが硬いこと」を挙げられます。
ガチガチの私にヨガなんてできるわけがない。多くの方がそんなふうに思っていらっしゃるようです。
ヨガって余程、軟体動物のやる運動だと思われてるんですね〜
結論から言いますと、ヨガはからだが硬くてもできます。問題なくできます。
いやむしろ、からだが硬いとお悩みであればこそ、積極的にヨガをやるべきなんです。
こんなふうにいうと「からだクニャクニャのインストラクターに何がわかるっていうの!」なんて怒声が返ってきそうですが、まあ落ち着いてください。
何を隠そう、私自身もからだガチガチ族のひとりだったんですから。
テディベアからのスタート
ヨガをはじめた頃、からだが硬いことは私のコンプレックスのひとつでした。
開脚状態での前屈はテディベア状態で、周囲の人たちから「真面目に前屈しなよ!」と叱られる始末。ヨガインストラクターとなった現在でも、前よりはだいぶ柔らかくはなったものの、人並みになったという程度です。
……いや、いまだ人並み以下かもしれません。
ヨガのポーズ(アーサナ)は多種多様で、バランス系のポーズやインナーマッスルを鍛えるポーズもたくさんあるので、必ずしも柔軟性が必要というわけではないんですが、ヨガインストラクターの資格をとるにあたり、見栄っ張りの私はもう少しからだを柔らかくしたいなと思うようになりました。
とりあえず、師匠やヨガ仲間に「どうやって柔らかくしたの?」と手当たり次第に聞いてまわることに。
すると返ってきたのは「ヨガで色んなポーズとってたら自然と柔らかくなっていったよ」という答えでした。
からだが硬いからといって、必死に柔軟体操しても柔らかくはならないと言うんです。なんじゃそりゃ、と思いました。
でも真意がわからないなりにヨガを続けていくなかで、ふと気がついたんです。
私、開脚して前屈しても太ももの裏や膝の裏が痛くならない。
痛くなるほど前屈ができていないのなら、筋肉の柔軟性じゃなくて骨盤の問題かもしれない、と。
そこですぐに信頼している整体院に行って、あれやこれやと探ってもらった結果、出てきた答えは「恥骨結合が強すぎて可動域が狭まっている」。
どんぴしゃり! やっぱり骨盤に原因があったんです。
師匠や仲間が口を揃えて言う「色んなポーズをとっているうちに自然と柔らかくなった」の真意がなんとなくつかめた瞬間でした。
からだの声に耳を傾けよう!
ヨガは様々なポーズを通じてからだ全体を整えていきます。
目の前の問題が生じるまでのプロセスは単純な場合もあれば、ピタゴラスイッチ並みに複雑な場合もあります。
問題の根深さによって矯正にかかる時間は変わるだろうけれど、色んなポーズで徐々にからだ全体を整えていけば、おのずと問題点の矯正も進んでいきます。
ようするに、患部をぐりぐりしても痛いだけで病根は治らないということです。
からだが硬いのなら、柔らかくしようと躍起になる前に、一度立ち止まって自分のからだに問いかけてみましょう。
「どうしてお前はそんなに硬いの?」
「というか、本当に硬いの?」
ヨガは自分のからだとの対話です。柔軟系のポーズが苦手なのであれば、そこにはきっと、からだが発する何かしらの訴えが隠れているはず。
からだは頑張り屋ですが、とっても謙虚だから大声で「しんどい!」とは言いません。
まずはからだの声に気づくこと。
ヨガでは、まさにこの「気づき」を大切にしています。
そしてこれこそが、からだが硬いという人ほどヨガをやるべきだと私が考える理由でもあります。
からだが硬いと気づけたということは、あなたはすでに素晴らしいヨガのスタートを切っているのです。
すでにスタートが切れているのだから、できないのではないか、と心配する必要などさらさらありません。
あとはヨガを通じてからだの声を積極的に聞き、さらに深い「気づき」を目指すだけ。
自分のからだのことなのに、まだまだ気がついてないことっていっぱいあるんです。きっとあなたなりのおもしろい答えに辿り着くと思いますよ。

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